昨夜、朝食は何時からがいいかと聞かれたので、できるだけ早くということで、７時になった。
　ヨーロッパでは、どこでも同じように、「コンチネンタル」で、トーストにバター、ジャム、オレンジジュースとコーヒー。
　　[ 07:05 ]

　食後、荷物を準備したりしていると、出発は、８時になってしまった。
　ご夫妻は、玄関先まで見送りに来てくれたので、写真を２、３枚撮らせていただいて、 帰宅後、A4 サイズにプリントアウトしたものを郵送しておいた。
　（フランス語で送り状を書きたかったので、家内の知人にお願いして, 下書きを書いて貰った。）
　（この写真は、クリックしても大きくなりません。）
　　[ 07:59 ]

　外は、霧が濃くて、後ろを振り返るとペンションの建物が太陽を背に受けてかすんでいる。
　　[ 08:01 ]

　国道 D 918を Ordiarp の中心部に向かう。
　霧で、見通しはあまり良くないが、上空は曇っていないので、そのうちに晴れてくるだろう。
　　[ 08:06 ]

　Ordiarp の町の教会までやって来たが、霧はまだ晴れない。
　（一見、ターナーの絵画のような雰囲気が・・・。）
　　[ 08:15 ]

　教会の向かい側には、小さな広場があり、 CENTRE D'ANIMATION と書かれた建物が建っている。
　このときは、こんな小さな村にも、アニメ映画を上映する映画館があるのかと思っていたのだが、 帰宅してからフランス語の辞書を調べてみると、"animation" というのは、「活気」「活動」などという意味だから、
英語で言えば、"Activity Center" だろう。
　いわゆる「アニメ」とは関係なくて、村の集会場か「公民館」のようなものだろうか？
　この建物の右の部分には、カフェのような店があるが、いまは閉まっている。　
　インフォメーションセンターでもあるようだし、ホタテ貝に 杖と瓢箪のマークもあるから、 サンティアゴの道とも関連があるのかも・・・。

　道路の先に、ひな鳥を連れた鳥がいて、こちらが近づいて行くと、急いで、駐車場の車の下に隠れてしまった。
　親鳥は首から上が白く、目のまわりは赤い。
　ひな鳥は、黒いのと薄茶色のが１羽ずつ。
　鳥の名前に関しては、全く無知なので分からないのだが、鴨の一種だろうか？
　　[ 08:21 ]

　Ordiarp の町の中を見て回ったあと、少し戻ったところで、橋を渡る。
　　[ 08:33 ]

　川の岸辺を見ると、先程のと同じ鳥が１羽・・・。
　ニワトリのように、飼育されている鳥ではなさそうだ。
　　[ 08:34 ]

　町を出ると、家をときどき見かける程度になる。
　これは農家だが、立派な門がある。
　　[ 08:41 ]

　道は、徐々に上り坂になってきて、右の電柱には、右折の GR マークが・・・。
　　[ 08:45 ]

　三叉路（地図の①地点）からは、道を右にとる。
　直進（地図上で、緑色のボールペンで書き込んだ道）すれば、 Col de Napale （ナパル峠）を経て、 Saint-Just-Ibarreサン・ジュスト・イバール に行けるのだが、Col d'Ehutza （デオザ峠）経由の道には、 眺望のいい場所がありそうなので、こちらを選ぶ。
　　[ 08:46 ]

　右折すると、すぐに左折のマークがある。
　　[ 08:47 ]

　農場の間の道を進んでいくと・・・。
　　[ 08:51 ]

　大きな角を持った山羊たちがいる。
　向こうに見えるのは、ピレネーの前山だろうか？
　　[ 08:59 ]

　再び、三叉路があり、ここからでも Col de Napale に行けるようだが、 当初の予定どおり、右の道を選ぶ。
　　[ 09:01 ]

　Ordiarp 方面を見ると、まだまだ深い霧に包まれている。
　　[ 09:06 ]

　北側斜面に面した開けた道に出たが、右下の谷側には、まだ霧が残っている。
　　[ 09:10 ]

　上空は、晴れているので、少し待っていれば霧も晴れるのではないかと思い、 休憩しながら待っていると、次第に下界が見えてきた。
　（地形図で、②の地点から見た風景。）
　　[ 09:28 ]

　「これを牧歌的と・・・」

　歳をとると、同じ言葉ばかり繰り返すようになっていけない。

　「ベートーベンの第六番が聞こえてきそうな・・・・」

とでも言うべきか・・・。
　　[ 09:35 ]

　少し歩いたところで、車は通れそうにない細い道に入って行く。
　　[ 09:38 ]

　アップダウンを繰り返しながら、徐々に上って行く。
　　[ 09:42 ]

　農場の間を歩いて行くと・・・。
　　[ 09:52 ]

　登り道になって、視界が開けてくる。
　　[ 10:17 ]

　右前方に見える山の頂上に白い建物が見える。
　望遠で引いて見ると、 教会のように見える。
　地図で確認すると、Ch^lle S^t Antoine と書いてあるのが、これだろう。
　しかし、まわりに人家が全く見あたらないところだから、教会ではなくて、修道院のようなものかもしれない。
　　[ 10:32 ]

　右下の方に、動くものがあるので、よく見ると、放牧するための牛が、下の方から上ってくるところのようだ。
　地図を見ると、自分がいま歩いている道と、少し先の方で出会うことになっている。
　このままだと、合流点には、牛の方が先に着いてしまいそうだ。
　牛のあとになると、その先が早く歩けなくなるから、急がねば・・・。
　　[ 10:40 ]

　下り道を駆け足で降りて行くと、ギリギリセーフで、牛より先に 合流点（地形図で③の地点）に到着することができた。
　牛たちは、すぐそこまで来ている。
　いくら「牛歩」と言っても、合流点までの距離の差が大きかったので、一時はどうなることかと思った。
　牛たちは、「道草」を食いながらやって来たので、何とかこちらの方が先に着けたということだ。

　寧むしろ鶏口けいこうとなるとも 牛後ぎゅうごと為なる勿なかれ

と言う諺（ことわざ）もあるくらいだから、牛後にならなくて良かった。
　（ちょっと、意味が違うか・・・？）
　　[ 10:44 ]

　少し行くと、道の上に倒木が倒れこんでいる。
　人間であれば、下をくぐるか、跨（また）いで上を越すこともできるが、 牛たちはどうするのだろう。
　牛の心配をしていても、こちらとしては、何をしてあげることもできないので、先に進む。
　　[ 10:52 ]

　そろそろ峠にかかる頃かと思って歩いて行くと、車で来たらしい女性が立っていた。
　念のために、
　「Saint-Just-Ibarre は、こちらでいいですか？」
と尋ねると、
　「そちらに降りて行きなさい。」
と言って、左下の方を指さしてくれた。
　下の道は、草だらけで、最初は道と思わず、まっすぐに歩いて行きそうだったので、危ないところだった。
　（地形図で④の地点）
　　[ 11:04 ]

　左に少し下ったところに、 GR の標識が立っている。
　もう少し、まわりをよく見ながら歩くようにしないと、まっすぐ行ってしまうところだった。

　羊のいる牧場の横を通る。
　　[ 11:07 ]

　さらに下って行くと、何カ所も土が盛り上がっているところがある。
　モグラが掘り返したものだろうか？
　　[ 11:11 ]

　左手に、北側の谷が見渡せるようになってきた。
　地形図をよく見ると、 Col de Napale を通って来る道は、 なだらかな稜線の向こうの森の中を通って、右下の方に下っていくはずだ。
　　[ 11:20 ]

　腰掛けるのに丁度いい大きさの岩があったので、少し休んで、行動食を摂る。
　足元を見ると、あまり見たことのない植物があった。
　最初は、スミレかな？と思ったが、花は終わっていて、実が付き始めている。
　実の形は金平糖のようで、スミレのそれとは全く違っているので、 スミレではなさそうだ。
　こんな形の実は、これまで見たことがなかったように思う。
　　[ 11:27 ]

　いよいよ、谷に向かって下り始める。
　かなり急な下り道で、左に傾いた斜面をジグザグに下って行く。
　まわりには、半分枯れたような木が立っていて、見通しはいい。
　　[ 11:31 ]

　山道を下りきったところで橋を渡る。
　小さな橋のたもとにも、 GR のマークが・・・。
　地形図によると、この流れの源流は、Col de Napale の付近にありそうだ。
　　[ 11:51 ]

　橋を渡ったところにも、 GR の標識がある。
　Saint-Just-Ibarre までは、4.7km だから、このときは、 あと１時間ほどで昼食にありつけると思っていた。

　小川の流れを右に見ながら進んで行く。
　　[ 12:01 ]

　再び右岸に渡ると、すぐに Ordiarp の町を出てから、初めての民家が出てきた。
　右手の小さな牧場には、２頭の牛が草を食んでいる。。
　　[ 12:06 ]

　右手の山裾には、羊の牧場が広がっている。
　　[ 12:19 ]

　Col de Napale からの道が左から合流してくると、すぐに左に曲がり、 再び先程の川の左岸に渡る。
　　[ 12:28 ]

　橋を渡ると、広い道になるが・・・・。
　　[ 12:29 ]

　GR 78 は、すぐに、草の生えた狭い道を通ることになる。
　雨降りの日などは、こちらを通らずに、右岸の舗装道路を歩くほうが良さそうだ。
　　[ 12:34 ]

　右手前方に集落が見えてきた。
　Saint-Just-Ibarre の村のようだ。
　　[ 13:00 ]

　Saint-Just-Ibarre の村に入って行く。
　教会の建物が見える。
　　[ 13:08 ]

　比較的新しいが、小さな村にしては、立派な教会だ。
　扉は閉まっていて、中には入れなかった。

　教会のすぐ前にレストランがあるので、入ろうとしたが、入口が閉まっている。
　たまたま、近所の家の窓が開いていたので、そこから声をかけて、 レストランは開いていないのか尋ねると、ご主人が少し英語が話せる人で、
　「今日は、日曜日だから閉まっている。」
とのこと。
　その人は、家から出てきて、教会の先にある別のレストランに連れて行ってくれたが、
そこの女将さんも、
　「今日は休み！」 と言うだけ。
　今日は、日曜日だということを、全く失念していた。
（実は、日曜日にレストランが休みになるとは知らなかった。）

　仕方がないので、先程渡ってきた橋まで戻って、橋の上の日陰になったところに腰を下ろして、 非常食を食べる。
　日本から持ってきていたカロリーメイトと今朝ペンションの水道からペットボトルに入れてきた水など。
　あとで分かることになるが、スペインでは、昼食にありつけなくて困るということは、ほとんどなかった。
　　[ 13:20 ]

　この川の名前は、La Bidouze というようだ。

　早く今日の宿まで行って、ちゃんとした食事をしなければ、と思って先を急ぐ。
　途中の写真は、ほとんど撮らなかった。
　右手向こうに、集落が見えてきた。
　Ibarrolleイバロル の村だろう。
　　[ 14:13 ]

　Ibarrolle の村に立ち寄るべきかどうか考えたが、教会だけは見ておきたいと思ったので、 少し遠回りになるが、立ち寄ってみた。
　やはり、ドアは閉まっていて、中に入ることはできない。
　先程の Saint-Just-Ibarre の教会もそうだったが、ここの教会も新しくて、 あまり歴史のある建物のようには見えない。 　　[ 14:30 ]

　教会の見学は、早々に切り上げて、国道 D 120 を急ぐ。
　途中、昨日見かけたのと同じ "Gite de France" の看板がある。
　右上の方の建物が、それらしい。
　国道は、左手にカーブして行く。
　　[ 14:51 ]

　Ibarolle の村が終わるところに、石積みの上に立てられた十字架がある。
　Saint-Just-Ibarre では見かけなかったが、多分 GR 78は、 裏道を通っているので、そちらには立てられていないのだろう。
　Ibarolle は、バスク語では Ibarla と呼ぶようだ。
　　[ 14:56 ]

　この辺から先は、次第に登り道になってくる。
　昼食をちゃんと摂っていないためか、身体が重くて、なかなか先に進まない。
　曲がりくねった国道 D 120 の坂道を、喘（あえ）ぎながら登り詰めて、 "COL DE GAMIA" の看板を見つけたときは、ホッとした。
　（地形図で B の地点）
　　[ 16:25 ]

　国道から分かれて、さらに坂道を上って行くと、Hotel & Restaurant の COL DE GAMIA があった。
　レストランだけ利用する客もいるようで、１階のレストランには、２、３組のカップルと４名のグループがいた。
　お腹が空いているので、取り敢えずビールとサラダを注文する。
　一息ついたところで、二階の部屋に戻り、シャワーを浴びて洗濯をする。
　洗濯物は、ホテルの裏にもの乾し場があったので、そこのロープに吊しておく。

　入口側から見たレストランの内部
　左側窓の外のテラスにもいくつか席がある。
　右手奥のドアから階段で２階に上る。

　夕食は、７時半からということで、食堂に降りて行くと、二組ほどのカップルがいた。
　先程サラダを食べたので、今回は、まずスープ。

　メインディッシュは、魚とハム、それにアスパラガスなど。
　もちろん、ビールも注文する。

　実は、メニューを見て注文したのではなく、テーブルについただけで、何も言わないのに持ってきてくれたのと、 ほかのお客とは違う料理だったから、これは、「巡礼者メニュー」だったのだろう。

　デザートはケーキ。
　ビールは、２杯目。

　ここの支払いは、宿泊代と食事代で、
　52.55 Euros （ビールを含む）。